犬の猫どちらも飼っている場合、犬用のフードやおやつを猫が食べてしまう、もしくはその逆のパターンが起きてしまう、ということは珍しくありません。
それでは、猫用のフードやおやつを犬が食べてしまうと、健康面などで問題は無いのでしょうか?
この記事では、猫用おやつの大定番「チャオちゅーる」の成分をご紹介しつつ、犬が猫用のフードを食べるリスクの有無について解説します。
猫用のおやつ「チャオちゅーる」を犬が食べても大丈夫?キャットフードとドッグフードの違いは?
猫に大人気の「チャオちゅーる」(いなばペットフード株式会社)。愛猫に与えていたら、愛犬が横取りした。なんてことはありませんか?
もしくは、「チャオちゅーる」の犬版「ワンちゅーる」を買ったつもりが、間違えて猫用の「チャオちゅーる」を買い与えてしまったという経験はないでしょうか?
一般的に、多くのフードやおやつは犬用、猫用とわかれています。
だからこそ犬が猫用のフードやおやつを食べてしまったら、安全面や健康面において不安になりますよね。
では、犬用のフードやおやつと、猫用のフードやおやつはどのような点が異なっているのでしょうか?
ドッグフードとキャットフードの違いとは?
ドッグフードとキャットフードの違いとは何なのでしょうか?
ドライフードにしてもウェットフードにしても、見た目はとても良く似ていますから、パッケージを見なければ区別しづらいですよね。
ですが一般的に、ドッグフードとキャットフードは、成分や栄養価の面で、以下のような異なる特徴を持っています。
ドッグフードの特徴 | キャットフードの特徴 |
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犬と猫の体質は大きく異なります。
猫は犬に比べて、多くのタンパク質と脂質を必要とします。そして目の健康維持に不可欠なタウリンや、体内合成が苦手なナイアシンを食事から摂取する必要があるので、キャットフードにはそれらの成分が多く含まれています。
一方の犬は、猫に比べて炭水化物の消化能力に長け、味覚も敏感なため、猫用フードと比べて薄味で炭水化物多めのフードが一般的です。
犬がキャットフードを食べたら危険?考えうるリスクとは?
このように、ドッグフードとキャットフードは犬と猫それぞれの体質に合わせて作られています。
そのため、キャットフードを犬が食べた場合、少量なら大きな問題はありませんが、継続的に食べると、栄養過多になる恐れがあります。
とりわけ、運動量が少ない犬や、代謝の落ちたシニア犬の場合肥満になる恐れがあります。
そしてもう一つのリスクは、ドッグフードを食べてくれなくなる可能性がある、ということです。キャットフードの方が味が濃く、美味しく感じるため、そちらを食べる習慣がついてしまうと、味の好みが変わっていまい、これまでの餌を食べてくれなくなる可能性があります。
一方、猫がドッグフードを継続的に食べると、栄養不足に加えて、タウリン不足で目の健康が脅かされたり、ナイアシン不足で代謝に影響を及ぼしたりする恐れがあります。
チャオちゅーるは犬には有害?ワンチュールと比較してみた
ここまで一般的なドッグフードとキャットフードの違いを見てきました。
次にご紹介するのは、猫ちゃん大好き「チャオちゅーる」です。
猫用の「チャオちゅーる」と犬用の「ワンちゅーる」の原材料と成分を比較してみると、意外な結果がわかりました。
今回は「チャオちゅーる とりささみ味」と「ワンちゅーる とりささみ味」を比較しています。どちらも総合栄養食(ごはん)です。
以下が「チャオちゅーる」と「ワンちゅーる」の原材料表です。共通する原材料は黒字で、異なる原材料は赤字で表記しています。
チャオちゅーる原材料 | 鶏肉(ささみ)、鶏脂、ほたてエキス、糖類(オリゴ糖等)、植物性油脂、ミネラル類(Ca、Cu、Mn、Zn、I、Fe、Na、P、Cl、K)、増粘多糖類、ビタミン類(A、E、B1、B2、B6、B12、K、コリン、ビオチン、葉酸)、調味料(アミノ酸等)、タウリン、紅麹色素、緑茶エキス |
ワンちゅーる原材料 | 鶏肉(ささみ)、鶏脂、チキンエキス、酵母エキス、タンパク加水分解物、増粘剤(加工でん粉)、ミネラル類(Ca、Fe、Cu、Mn、Zn、I、K)、増粘多糖類、ビタミン類(A、D3、E、B1、葉酸、B12、コリン)、キトサン、紅麹色素、緑茶エキス |
同じ総合栄養食で、とりささみ味ですが、成分にはけっこうな違いがあります。
猫用の「チャオちゅーる」は脂質を高める植物性油脂や、目の健康維持に必要なタウリンなどが添付されています。また、嗜好性を高めるためにホタテエキスやアミノ酸等の調味料が配合されています。
一方、犬用の「ワンちゅーる」は「チャオちゅーる」と比較して、シンプルな成分です。風味付けのチキンエキスが配合されているものの、調味料は未配合です。そして、ミネラル類やビタミン類などは猫用「チャオちゅーる」とほぼ同様の成分が配合されています(配合量は異なると思いますが)。
ワンちゅーるならではの特徴は、タンパク質を効率よく吸収できるタンパク加水分解物が配合されていたり、増粘剤に炭水化物である加工でん粉が用いられていることでしょう。
続いてそれぞれの保証成分値を比べてみましょう。
チャオちゅーるの保証成分値 | たんぱく質 7.0%以上、脂質 3.8%以上、粗繊維 0.5%以下、灰分 3.0%以下、水分 85.0%以下、エネルギー約13kcal/本 |
ワンちゅーるの保証成分値 | たんぱく質7.0%以上、脂質4.0%以上、粗繊維0.3%以下、灰分2.5%以下、水分86.0%以下、約13kcal/本 |
保証成分値のみを見比べると、大きな差がないように感じます。タンパク質量やカロリーの値はどちらも同じです。意外なことに、脂質に関しては「ワンちゅーる」の方が値が高いですね。
大きく異るのは灰分です。灰分とは、ミネラルのことです。「チャオちゅーる」の方がミネラルが豊富に含まれています。
チャオちゅーるを犬に多量に与えるのは要注意
以上のように、「チャオちゅーる」と「ワンちゅーる」には原材料面でも栄養面でも違いがあることがわかりました。
1パックが14gと少量なので、チャオちゅーるを1本犬が食べたからといって、体調を壊す可能性は低いでしょう。
ですが、ある程度の量を継続して与え続けることで、接種する栄養バランスが崩れる可能性もありますから、犬には犬用のフードやおやつを与えるようにしましょう。
またアレルギーの面でも注意が必要です。
たとえば、先ほど比較した「チャオちゅーる とりささみ味(総合栄養食)」と「ワンちゅーる とりささみ味(総合栄養食)」ですが、前者には、後者には配合されていない、ほたてエキスが配合されています。
いつも購入している「ワンちゅーる」が品切れだからと、同じ味の「チャオちゅーる」を購入すると、気づかぬうちにアレルゲン素材を食べさせてしまうことがあるかもしれません。安易に猫用おやつを代用するのは控えましょう。
⇒肉アレルギー&肉嫌い犬にオススメ!魚ドッグフードランキングTOP3
「高齢で食欲のない犬がチャオちゅーるなら食べてくれる」与えたらダメ?
高齢で食欲が低下した犬の場合、それまで食べていたドッグフードを食べてくれなくなるということはよくあります。
なにか食べてくれる物を…と探した結果、「チャオちゅーる」なら食べてくれた、というケースもあるでしょう。
では、そのような場合でも「チャオちゅーる」を与えてはダメなのでしょうか?
これに関しては、犬の健康状態や体質には個体差があるので、食べさせて問題が無いかどうかを、かかりつけ獣医に相談してみましょう。
持病がある場合やアレルギー体質の場合など、少量の摂取でも体の害になる可能性もありますから、自己判断で与えないようにしましょう。
チャオちゅーるが好きな犬に合うドッグフードもある
食欲が無い犬でも「チャオちゅーる」を食べてくれる理由としては、飲み込みやすい水分量であることや、風味が強いことが挙げられるかと思います。
そうであれば、猫用フードと似たような特性を持つドッグフードを見つけるというのも手です。
たとえば、このサイト読者様にも愛用者の多い、”高齢犬の救世主”こと「ブッチ」ドッグフードは、ウェットフードですがペーストフードとしても与えられますし、「ブッチ」に限らず、嗜好性の高さと栄養面を追求したウェットドッグフードはたくさんあります(海外メーカーに良質なものが多い印象)。
⇒"ブッチ"で食欲不振が劇的改善?!食べない老犬の救世主ドッグフードがすごい
また、少し手間はかかりますが、いつものドッグフードと手作りごはんをMIXさせたウェットフードを作るという手もあります。
まとめ:犬にチャオちゅーるや猫用おやつ・キャットフードは食べさせない方がいい
犬と猫では健康維持のために必要な栄養が異なります。フードやおやつに犬用と猫用があるのはそのためです。
「チャオちゅーる」のような少量のフードの場合、少し食べただけで犬の体に健康被害が及ぶ可能性は少ないでしょう(アレルギーが有る場合は例外)。ですが、継続して与えるのは望ましくありません。
キャットフードはドッグフードと比較して味付けが濃いため、一度キャットフードに慣れるとドッグフードを食べなくなる場合もありますから、既存のドッグフードを食べてくれないという場合も安易にキャットフードを与えるのではなく、愛犬の好みにあう物を探したり、手作りフードを取り入れてみたりと工夫することをおすすめします。