老犬の愛犬に大量のフケが!
肌が乾燥しているから?
それとも皮膚のケアがきちんとできていない?
原因が分からず不安を抱えている
飼い主さんもいらっしゃることでしょう。
実は、老犬は若い成犬と比べて
フケの量が多くなりがちです。
「それなら気にするほどのことでもないのかな?」
と思ったそこのあなたは要注意。
実はフケと老犬の体の調子には密接な関係があるんです。
フケの原因を探り、正しい対処を行って
愛犬の長生きを目指していきましょう。
老犬に大量のフケ!原因と対策とは?
老犬になるとフケが増える根本的な原因は?
老犬はフケが多くなる傾向があることは
先ほどもお話しました。
ではなぜフケの量が増えてしまうのか。
その直接的な原因は実はたくさんあります(後述)。
ですがそれらの直接的な原因の引き金となっている
根本的な原因は実は共通しています。
それは老犬の代謝機能が衰えていること。
代謝機能が低下すると、皮膚のバリア機能も弱ります。
すると乾燥や外部刺激などによって
皮膚の表面の古い角質がごそっと剥がれ落ちてしまうんですね。
また、老いると体質が急激に変化することも。
すると今まで問題なかった飼育環境でも、
フケの原因につながるという場合もあるんです。
ひどい場合はフケだけでなく、抜け毛を併発することもあります。
大量のフケを引き起こす直接の原因は?
代謝の低下した老犬の肌に
大量のフケを生じさせる直接的原因は
病気によるもの、飼育環境によるもの、
大まかに言うと、この2つのグループに分かれます。
ではグループごとに細かく見ていきましょう。
フケが増える病気と対策は?
フケを引きおこす病気には以下のようなものがあります。
ダニ・虫による皮膚炎
ダニなどの外部寄生虫によって
皮膚炎を発症し、フケが出てきます。
寄生虫の種類によって症状も異なりますが、
中には強いかゆみや脱毛、ただれや
二次感染性を引き起こす場合もあるので
早めの治療が必要です。
以下は主な外部寄生虫感染症の名称と
寄生虫の種類、かゆみの強さです。
ツメダニ症…ツメダニ(かゆみ強)
疥癬…ヒゼンダニ(かゆみ激しい)
毛包虫症…ニキビダニ(かゆみ少)
ツメダニやヒゼンダニは動物だけでなく
人にも寄生する可能性があります。
外部寄生虫感染は、
駆虫薬によって治療できますが、
感染したら、飼育環境をきれいに保ち、
高温多湿にならないよう心掛けましょう。
真菌による皮膚炎
真菌(つまりカビ)に感染することで
発症する皮膚炎です。
主な真菌感染症は次の2つです。
1つ目が皮膚糸状菌症。
主にミクロスポラム・カニスという真菌が引き起こす皮膚炎です。
痒みは弱いのですが、フケや皮膚の赤み、
ひどい場合は円形脱毛などを引き起こします。
人にも感染の恐れがある真菌です。
2つ目がマラセチア皮膚炎。
マラセチアという真菌によって引き起こされます。
湿った環境を好むため、
耳や内股、犬がよく舐める手足などに発症しやすいと言われいます。
症状は皮膚の赤みや、脂漏、ベタッとしたフケ、など。
独特な臭いも特徴です。
こちらは人には感染しません。
どちらの治療も抗真菌薬と、
抗真菌成分配合の専用シャンプーを併用し治療していきます。
細菌性皮膚炎
細菌(ブドウ球菌)によって引き起こされる皮膚炎。
膿皮症とも言います。
フケ以外にも皮膚の赤み、ニキビのようなできもの、
皮膚のジュクジュク、脱毛、かさぶたのようなできもの
などの症状があります。
治療には抗菌・殺菌作用のある外用薬、
もしくは全身に症状が及ぶ場合には内服薬を使用します。
ブドウ球菌は常在菌なのですが、
例えば外傷や皮膚舐め、栄養不足、免疫低下
スキンケア不足などの何かしらの要因が
細菌性皮膚炎を引き起こします。
つまり細菌性皮膚炎を繰り返さないためには
それの原因となる要因について対策する必要があります。
アレルギー性皮膚炎
何かしらのアレルギーによって引き起こされる皮膚炎です。
アレルゲンは食べ物、ノミ・ダニ、カビ、
花粉、ハウスダストなどさまざまです。
アレルギーの場合、皮膚が痒くなったり
炎症を起こしてフケが発生する場合があります。
また、皮膚の症状以外には
くしゃみ、鼻水、目の充血、目の腫れ、
喉の腫れ、呼吸困難など、
人間のアレルギーと同様の症状が現れます。
アレルギーが原因の場合は
アレルゲンとの接触を避けて発症を抑えます。
ひどい場合は、投薬により治療します。
アレルギーは老化とともに
突然発症する場合もあります。
今まで何もなかったからといって
一生アレルギーとは無縁とは限りません。
ご注意ください。
脂漏症(角化異常)
脂漏症とは肌のターンオーバー(生まれ変わり)の
周期が乱れたことにより、
皮膚に異常が生じる症状です。
脂漏症には「油性」と「乾性」があります。
油性脂漏症は皮脂が過剰分泌され
体がべとついたり、べとついたフケが出たり、
独特な体臭を発します。
乾性脂漏症は、体の水分が失われることにより
皮膚がカサカサになり、フケが出るという症状です。
皮膚の表層(角質層)がかさぶたのように分厚くなり、
ポロポロと剥がれることもあります。
脂漏症には生まれ持った遺伝的疾患タイプと、
上記の感染症や、アレルギー、代謝疾患、腫瘍など
さまざまな原因から続発するタイプがあります。
高齢犬になってから症状が現れた場合は、後者のタイプです。
治療方法は、病気が原因の場合は、
その疾患に合わせた投薬治療を行います。
その他には専用シャンプーを使用します。
老化による体質が原因の場合は、シャンプー併せて
栄養の見直しや、生活環境の改善、
代謝の促進などを行います。
飼育方法でフケが増える場合の対策は?
見出しのタイトルで誤解しないでいただきたいのですが、
あなたの飼い方が悪くてフケが出ているというわけではありません。
愛犬を長生きさせているあなたは素晴らしいオーナーさんです。
ここで言いたいのは
人間が年齢を重ねると生活様式が変わるように、
犬にも年齢に適した生活様式があるということです。
食べ物、生活環境、ふれあい方など
いろいろな面で犬の老化に対応する飼育方法があります。
若い頃にはなんともなかったことでも、
愛犬の加齢とともに負担になる場合もあるので
年齢に合わせた生活様式の見直しは大切です。
フケを発生させないための
具体的な飼育方法の見直しポイントは以下の通りです。
季節によって異なる!飼育環境の温度と湿度の管理
老犬の肌は外部刺激の影響を受けやすくなります。
その中でも気をつけたいのが
飼育環境の温度と湿度です。
梅雨のジメジメは
ダニや真菌感染症になりやすい
環境を作ってしまうので、
湿度50%を目指して除湿対策を行いましょう。
室内犬の場合、夏や冬のエアコンの使用は
室内を乾燥させます。
保湿対策を並行しましょう。
そして冬に特に気をつけたいのがヒーター。
”老犬は体温管理が苦手だから”と
ヒーターの風が当たる場所で生活させていると
犬の乾燥が進行していまいます。
室温が熱くなりすぎるのも
体の水分を奪う原因になるので要注意。
一般的に犬に適した室温は
小型犬で20~24℃
中型犬で20~23℃
大型犬で18~22℃
超大型犬で16~20℃
と言われています。
しかし犬種や原産地によって寒さ・暑さへの耐性が異なります。
愛犬の特性に合わせた室温管理を行いましょう。
※体温調節機能が衰えて、
体温が低めになった高齢犬は
この限りではありません。
スキンケアを高齢犬向けに変更
老犬になると、これまでのスキンケアが
体質に合わなくなる場合もあります。
例えばシャンプーは
若い成犬なら月1回頻度が良いとされていますが、
高齢になると2ヶ月に1回で十分とされています。
シャンプーも低刺激の保湿効果のある商品に
切り替えてみるのも良いかもしれません。
この低刺激シャンプーのように
成分がきちんと公開されている商品が安心ですし
アレルギーのわんちゃんでも安心して使えますね。
寝たきり犬や立つことがやっとという状態の場合は、
無理にシャンプーする必要はなく、
体調の良さそうなときに体を拭いてあげれば十分です。
お湯で拭くだけですと水分が乾いた後に
肌が乾燥してしまうので、保湿対策も並行して行いましょう。
ちなみに私はアヴァンスという犬の無添加化粧水を愛用しています。
アヴァンスは温泉由来の天然成分で作られているのですが
これ一つで体拭き+保湿+フケ対策+脱毛対策+なみだ(よだれ)やけ+耳掃除とオールインワンでケアできるのが気に入っています。
評判が良いと後で知ったのですが、確かに納得です。
スキンケアの時短は高齢犬には非常にありがたいですよね。
うちの子はスプレーを嫌がるので
手にとって撫でるように使用しているのですが、
嫌がる素振りもなく受け入れてくれています。
水分摂取のタイミングは愛犬任せにしない
保湿対策には、体の外からの対策も有効ですが、
体の内側からの摂取も大切です。
しかし困ったことに、
老犬になると喉の乾きに鈍感になり、
水分摂取量が減ってしまいます。
水分摂取は犬の欲望任せにせず、
私たち飼い主が意識して摂取量を管理する
というスタイルに変えましょう。
しかし、いざ水を飲ませようとしても
味のない水はなかなか飲んでくれないこともありますよね。
そんなときは、フードに水やスープを加える、
水分量豊富なウェットフードを取り入れる、
ペットスエットのような吸収効率に優れた水分を与える
といった工夫をしてみましょう。
少量でも栄養をたくさん補えるフードを
健やかな皮膚には栄養摂取が欠かせません。
しかし、老犬になると食事量が減ってしまうことは避けられません。
もちろん必要な栄養量も少なくなるのですが、
その必要な栄養量も摂取できない場合も
珍しくはありません。
食欲が落ちてしまったわんちゃんに、
どうやって栄養をたっぷり摂ってもらうのか?
それは少量でも栄養価の高い食事を与えることです。
まずは栄養価の高いドライフードに切り替えてみましょう。
もしくは既存のフードに
野菜やお肉をトッピングするのも有効です。
フードが硬くて食べづらいなら
お湯でふやかすのもおすすめですが、
味が変わると嫌がるわんちゃんもいます。
そんな子にはだし汁でふやかしたり
食べやすいウェットフードを与えてみてください。
⇒食欲不振が改善?!食べなくなった老犬たちを救ったウェットフードとは?
こんなこともストレスに!?老犬のメンタルケアは大切
老犬になると、ストレスを感じやすくなると言われています。
慣れ親しんだ環境や家族のもとで暮らしていても、
意外な事がストレスになるんです。
例えば音や光などの外からの刺激や
体が思うように動かない不安なども
ストレスの原因になります。
ストレスを感じた犬には
体を舐める、掻きむしるといった
肌を傷つける行為や、
食欲不振という症状が現れる事があります。
↓の記事にはストレスの原因や症状・対策をまとめています。
人間と同様に、
犬もストレスで心の健康を残ってしまうと
体調にまで異変が生じる可能性があります。
皮膚のケアに限らず、
犬の長生きのためには
ストレス対策が不可欠です。
愛犬が安心できる環境づくりと
コミュニケーションを心掛けてみてください。
老犬のフケは健康状態のバロメーター!心配なら医師に相談を
年老いた愛犬のフケが増えてきた場合、
それは体の衰えのしるしです。
フケが出ること自体仕方のないことですが、
フケの出る乾燥肌にも優しい環境を
整えてあげることがご長寿にも繋がります。
しかし、フケの量が急増した場合や、
フケ以外にも皮膚に異常が見られる場合は
病気が疑われますので、早めにかかりつけ医を受診し、
医師のアドバイスに沿ったフケ対策を行いましょう。