多くの犬に時々見られる”震え”。
何かのきっかけで足やお尻、背中あたりが
ブルブルと小刻みに震えます。
これは老犬というにはまだ若い年齢の犬にも現れる現象です。
頻繁に震えが現れると心配になりますよね。
いざという時適切な対処ができるよう、
震えの原因を押さえておきましょう。
老犬(シニア犬)の震えの原因は大きく分けて2種類
震えの原因はさまざまなのですが、
大きく分けると、
- 単発的な安全な震え
- 健康でない場合に頻発する注意すべき震え
この2種類に分かれています。
前者は一時的な要因が解消されれば収まるのですが、
後者は病気や体調が改善しない限り治らないので
治療や健康ケアが必要です。
ではこの2種類の詳細や見分け方を見ていきましょう。
1.単発的な震えの原因
気候によるもの
人間も同様ですが寒さで震える場合があります。
寒さに苦手な犬種や体脂肪や筋肉の少ない小型犬に
現れやすい震えです。
これは寒さを緩和させれば解決します。
外出時は洋服を着せ、
室内では室温を上げたり毛布などで防寒しましょう。
(室内でも服を着せ続けるとストレスになる場合も)
ストレスによるもの
騒音や、来客、他の動物との接触などなど、
普段とは異なる環境下でストレスを感じ、
それが震えとなって現れる場合も多いんです。
いつもと違うシチュエーションの中で震えている場合は
ストレスが原因である可能性が高いでしょう。
解決策は声掛けなどで安心させてあげたり、
外からの騒音の場合は、音源から遠い部屋に移動させるなど
不安を和らげてあげること。
不安要因がなくなれば自然と震えは止まります。
興奮状態からくるもの
テンションが上がりすぎると震えるワンちゃんもいます。
怒りなどのネガティブな感情だけでなく
嬉しさから震えるケースもあるんです。
私が以前飼育していた愛犬(チワワ)はお留守番が
大の苦手だったのですが、私が帰宅するなり
目をウルウルさせて尻尾をブンブン振り
体をプルプル震わせていました。
また雑種の愛犬はとても食いしん坊だったので
ご飯タイムになると足踏みしながら息を荒げて
ブルッと身震いしていました。
こういった興奮による震えも時間と共におさまります。
2.頻発する注意すべき震えの原因
シニア以降になると何らかの病気などが原因の
震えが起こる可能性が高まります。
足腰の筋力の低下によるもの
筋力が落ち、体を支えるだけの十分な筋肉が
維持できなくなることで震えが生じてしまいます。
これは病気というより老化現象です。
ですので治療ではなく、筋力を落とさないための
運動が必要です。
足腰がプルプル震えている愛犬の姿は痛々しく感じますが
だからといって飼い主の独断で「散歩に行くのはやめよう」
などと決めないようにしましょう。
犬自身に散歩に行く意思があれば無理させない範囲で
積極的に歩かせてあげてください。
歩くのがおぼつかなくなっても、外に出たそうなら
抱っこで連れて出てあげて負担のない地面で
下ろしてあげて数歩歩かせるだけでも良いでしょう。
前足の体力があれば歩行器も有効です。
親心で守ってあげてしまうと筋力の低下に
拍車をかけるだけでなく、体力も落ちてしまうので
病気にかかりやすい体になってしまいます。
「動けるうちは可能な限り動く」を心がけてくださいね。
また筋力の低下は食事量の低下にも繋がります。
食事量が減ると栄養も不足し更に筋力が低下するので、
運動同様に食事の量も減らさないよう心がけましょう。
関節炎やヘルニアなど体の痛みによるもの
体の一部に痛みがあると耐えきれず震えが現れます。
筋力低下の震えとの見分けが困難な場合もあるのですが
元気がない、食欲がないなど普段の様子が異なる場合や、
動いた拍子にキャンと鋭い声で鳴いたり
軽く撫でるだけで鳴いたり唸ったり、攻撃してくる場合は
何かしらの痛みを疑って良いかもしれません。
老化とともに増す不安感によるもの
犬は年をとるにつれて不安感を増す傾向があります。
これは体力の低下や身体機能の低下が起き、
これまで当たり前にできていたことが
日に日にできなくなったり
飼い主の姿が見えづらい、声を聞きづらいなどで
孤独を感じることも要因かもしれませんね。
そんな得も言えぬ不安感により震える子もいます。
また認知症の症状の一つとして
より一層不安感を募らせるというケースもあるので、
一度医師に相談して病気か老化現象化を判断してもらいましょう。
その他病気の神経症状として現れるもの
何らかの脳や神経系の病気の症状として
震えが現れる場合があります。
全身に渡って震えるものや、
痙攣のようにビクビク震えるものもあります。
また何らかの病気が原因による発熱や
低血糖症、低体温症によるものなど、
震えを引き起こす病気はさまざまです。
それらを私たち素人が判断するのは至難の業。
病気の場合は震え以外にも嘔吐、下痢、泡を吹く
倦怠感、体温の低下、発熱、食欲不振、喉の渇き
などなど震え以外の何らかの異常が現れている
可能性が高いです。
老犬の震えはまず病院へ
病気による震えなのか、
それとも老化現象の一つなのか。
その判断を手助けするヒントをご紹介しましたが
全てがそれに当てはまるとは限りません。
犬は人間の4~7倍の速さで年をとりますから
老化のスピードも早いです。
見落としそうな小さな不調が
翌月に発覚した大病の予兆だった、
なんていうこともあり得ます。
ですから震えも老化だから仕方がないと
自己判断する前に、必ずかかりつけの獣医さんに
相談してみてくださいね。